テトフエ|お正月の伝統料理で味わうフエの年越し
ベトナムの旧正月テト(Tết)は、一年で最も重要な祝日です。特にフエでは、王朝時代からの伝統を受け継ぎ、独特の正月料理が今も大切に守られています。この記事では、フエのテトに欠かせない伝統料理を詳しくご紹介します。
テトとは?ベトナムの旧正月
テト(Tết Nguyên Đán)は、ベトナムの旧正月で、旧暦の1月1日を祝います。通常、新暦の1月下旬から2月中旬の間に当たり、国全体が1週間以上の休暇に入ります。
この時期、ベトナム人は故郷に帰り、家族と過ごし、先祖に感謝を捧げます。そして、テトには特別な料理が欠かせません。
フエのテト料理の特徴
フエは阮(グエン)王朝の首都として栄えた歴史を持ち、その食文化は他の地域とは一線を画しています。テト料理にもその特徴が色濃く表れています。
宮廷文化の影響
かつて王族や貴族のために作られた料理の影響で、フエのテト料理は見た目の美しさと繊細な味付けが特徴です。
保存食の知恵
テト期間中は市場も休みになるため、長期保存できる料理が多く作られます。発酵食品や漬物が重要な役割を果たします。
フエのテトに欠かせない料理
1. バインチュン(Bánh Chưng)
四角い形のもち米の餅で、中には緑豆餡と豚肉が入っています。バナナの葉やドンの葉で包み、数時間茹でて作ります。
意味:大地を象徴し、先祖への感謝を表します。
食べ方:切り分けて、ヌクマム(魚醤)やズアモン(漬物)と一緒に。
2. バインテト(Bánh Tét)
バインチュンの円筒形バージョンで、中部・南部で特に人気があります。フエでは両方が作られますが、バインテトの方が一般的かもしれません。
特徴:円筒形で、切ると美しい断面が現れる。中央に緑豆と豚肉。
保存:涼しい場所で1〜2週間保存可能。
3. ズアモン(Dưa Món)
フエのテトに絶対欠かせない漬物です。大根、人参、パパイヤ、ニラなど様々な野菜を甘酢に漬け込んだもの。
役割:脂っこいテト料理の箸休め。消化を助ける。
特徴:カリカリとした食感と甘酸っぱい味わい。
4. チェー(Tré)
豚肉を発酵させた保存食。テトにはバインチュンやバインテトと一緒に食べるのが伝統です。(詳しくは別記事参照)
5. ネムチュア(Nem Chua)
発酵させた生の豚肉ソーセージ。バナナの葉で小さく包まれ、数日間発酵させて作ります。
味わい:酸味があり、ニンニクと唐辛子のパンチが効いている。
食べ方:そのままお酒のおつまみに、またはご飯と一緒に。
6. ヨーホン(Giò Heo)
豚足の煮込み。コラーゲンたっぷりで、冷めるとゼリー状に固まります。
7. ティットコー(Thịt Kho)
豚の角煮。ココナッツジュースと魚醤で煮込み、甘辛い味付け。ゆで卵と一緒に煮込むことが多いです。
テト料理の準備
大晦日(30日目)
テト前日は最も忙しい日。バインチュンやバインテトを茹でるのに12時間以上かかるため、前日から準備を始めます。夜通し火の番をしながら、家族で新年を迎えます。
元日(1日目)
新年最初の日は、準備した料理を先祖の祭壇に供え、家族で食事をします。この日に包丁を使うと縁起が悪いとされるため、すべての料理は前もって準備しておきます。
2日目以降
親戚や友人の家を訪問し、テト料理を振る舞い合います。「新年おめでとう(Chúc Mừng Năm Mới)」と挨拶を交わし、子供たちはお年玉(リーシー)をもらいます。
日本の正月料理との比較
共通点
| 項目 | ベトナム(テト) | 日本(正月) |
|---|---|---|
| 餅料理 | バインチュン、バインテト | お雑煮、鏡餅 |
| 保存食 | チェー、ネムチュア | おせち料理 |
| 漬物 | ズアモン | なます、千枚漬け |
| 意味 | 先祖供養、家族団欒 | 先祖供養、家族団欒 |
違い
- 主食:ベトナムはもち米、日本はうるち米も使う
- 発酵食品:ベトナムは肉の発酵食品が多い
- スパイス:ベトナムは唐辛子や魚醤を多用
テト期間中のフエ観光
メリット
- 伝統的な正月の雰囲気を体験できる
- 花市場(Chợ Hoa)が美しい
- 寺院や王宮でのイベントがある
- 地元の家庭料理を味わえる機会がある
デメリット
- 多くの店やレストランが休業
- 交通機関が混雑
- ホテルの料金が高騰
- 観光地も一部閉鎖
おすすめ
テト期間中にフエを訪れるなら、ホテルに事前に食事の手配を確認しておくことをおすすめします。また、地元の人と交流する機会があれば、家庭でのテト料理を体験できるかもしれません。
テト料理を日本で作る
バインチュンの簡易レシピ
日本でも材料を揃えればバインチュンを作ることができます。
材料:
- もち米:500g
- 緑豆(皮なし):200g
- 豚バラ肉:200g
- 塩、胡椒、魚醤
- バナナの葉またはアルミホイル
作り方:
- もち米と緑豆をそれぞれ一晩水に浸す
- 豚肉を塩、胡椒、魚醤で下味をつける
- 緑豆を蒸してつぶし、塩で味付け
- バナナの葉(またはアルミホイル)を敷き、もち米→緑豆→豚肉→緑豆→もち米の順に重ねる
- しっかり包み、蒸し器で4〜6時間蒸す
まとめ|テトはフエの食文化の集大成
フエのテト料理は、王朝時代からの伝統と、庶民の知恵が融合した食文化の集大成です。バインチュン、バインテト、チェー、ズアモン。これらの料理には、家族への愛情、先祖への感謝、そして新年への希望が込められています。
もしテト期間中にフエを訪れる機会があれば、観光地だけでなく、地元の人々の暮らしにも目を向けてみてください。家々から漂う料理の香り、花で飾られた祭壇、新年を祝う人々の笑顔。それらすべてが、フエのテトの魅力を形作っています。
そして、日本に戻ってからも、バインチュンやズアモンを作って、フエのテトの味を思い出してみてはいかがでしょうか。食べ物は、旅の記憶を最も鮮やかに呼び起こしてくれるものですから。