チェーフエ(Tré Huế)|フエ流発酵豚肉の魅力を徹底解説


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ベトナム中部の古都フエには、発酵食品を愛する文化があります。その代表格がチェー(Tré)です。豚肉を香辛料と共に発酵させたこの料理は、フエの人々にとって欠かせないご馳走であり、テト(旧正月)には必ず食卓に上る伝統食です。

チェーとは?フエの発酵豚肉

チェー(Tré)は、豚の頭肉、耳、皮などを細切りにし、炒った米粉(ティン)、ニンニク、唐辛子、ガランガル(タイショウガ)などと混ぜ合わせ、バナナの葉で包んで数日間発酵させた保存食です。

「Tré」という名前の由来は諸説ありますが、発酵によって生まれる独特の酸味が「酸っぱい」を意味するベトナム語に関連しているとも言われています。

チェーの特徴

味わいの特徴

  • 酸味:発酵による穏やかな酸味が特徴
  • 辛味:唐辛子とガランガルのピリッとした刺激
  • 香ばしさ:炒った米粉(ティン)と胡麻の風味
  • 歯ごたえ:豚の耳や皮のコリコリとした食感

見た目

バナナの葉で円筒形に包まれ、紐で縛られた姿は、日本の笹巻きや中華ちまきを思わせます。葉を開くと、オレンジがかった茶色の具材が現れ、胡麻や唐辛子の赤が点在しています。

チェーの材料

主な材料

  • 豚の頭肉(Thịt đầu heo):メインの材料。脂と赤身のバランスが良い
  • 豚の耳(Tai heo):コリコリとした食感を出す
  • 豚の皮(Da heo):ゼラチン質でプリプリの食感
  • 豚バラ肉(Thịt ba chỉ):脂身の旨みを加える

調味料・香辛料

  • ティン(Thính):炒った米を粉にしたもの。発酵を助け、香ばしさを加える
  • ガランガル(Riềng):タイショウガとも呼ばれる。爽やかな辛味
  • ニンニク(Tỏi):風味付け
  • 唐辛子粉(Ớt bột):辛味と色付け
  • 胡麻(Mè):香ばしさのアクセント
  • 魚醤(Nước mắm):塩味と旨み
  • 砂糖:味のバランスを整える
  • 胡椒:風味付け

包み材

  • バナナの葉:発酵を促し、香りを移す
  • 竹の紐または藁:包みを固定する

チェーの作り方

下準備

  1. 豚肉の処理:豚の頭肉、耳、皮をよく洗い、茹でて火を通す。冷めたら細切りにする。
  2. ティンの準備:生米をフライパンで黄金色になるまで炒り、冷めたらミルで粉にする。
  3. ガランガルの準備:皮をむいて千切りにする。

混ぜ合わせ

  1. ボウルに細切りにした豚肉を入れる。
  2. ティン、刻んだガランガル、ニンニク、唐辛子粉、胡麻を加える。
  3. 魚醤、砂糖、胡椒で味付けし、よく混ぜ合わせる。
  4. 味見をして、塩気や辛さを調整する。

包んで発酵

  1. バナナの葉を火であぶって柔らかくする。
  2. 葉の上に混ぜた具材を円筒形に置く。
  3. 葉でしっかりと包み、両端を紐で縛る。
  4. 室温で2〜3日間発酵させる。気温によって発酵時間は異なる。
  5. 酸味が出てきたら完成。冷蔵庫で保存する。

チェーの食べ方

そのまま食べる

チェーは発酵が完了したら、そのまま食べられます。包みを開いて皿に盛り、ビールや焼酎のおつまみとして楽しみます。

バインチュン・バインテトと一緒に

フエの正月には、バインチュン(Bánh Chưng)バインテト(Bánh Tét)という米の餅と一緒にチェーを食べるのが伝統です。餅の柔らかさとチェーの歯ごたえ、餅の淡白な味とチェーの複雑な風味が絶妙にマッチします。

ご飯と一緒に

熱々の白いご飯の上にチェーを乗せて食べるのも美味しい食べ方です。発酵の酸味がご飯の甘みを引き立てます。

お酒のおつまみに

チェーはビールとの相性が抜群です。フエの地ビール「フダ(Huda)」と一緒に楽しむのが地元流。辛味と酸味が冷たいビールによく合います。

日本料理との比較

似ている日本の食品

チェーに最も近い日本の発酵食品はなれ寿司へしこでしょう。どちらも発酵によって独特の酸味と旨みが生まれる保存食です。

また、豚肉を発酵させるという点では、沖縄のスーチカー(塩漬け豚)にも通じるものがあります。

比較表

項目 チェー(ベトナム) なれ寿司(日本)
主材料 豚肉(頭、耳、皮)
発酵媒体 ティン(炒り米粉) 米飯
発酵期間 2〜3日 数週間〜数年
香辛料 ガランガル、唐辛子 ほぼ使わない
食べ方 そのまま、餅と一緒に そのまま、寿司として

味わいの印象

日本人がチェーを初めて食べると、発酵食品特有の酸味に驚くかもしれません。しかし、その酸味はなれ寿司ほど強くなく、むしろ爽やかな印象です。ガランガルと唐辛子のスパイシーさが加わり、日本の発酵食品にはない複雑な味わいが楽しめます。

チェーの種類

チェーヘオ(Tré Heo)

豚肉で作る最も一般的なチェー。フエで「チェー」といえば通常これを指します。

チェーボー(Tré Bò)

牛肉で作るバージョン。豚肉版よりも赤身が多く、より淡白な味わい。豚肉を食べない人にも人気があります。

チェーキムロン(Tré Kim Long)

フエのキムロン地区で作られる有名なブランド。品質が高く、お土産としても人気。真空パックで販売されているため、日持ちします。

フエでチェーを買えるお店

1. チェー・キムロン(Tré Kim Long)

住所:Kim Long, Huế
価格:約55,000ドン/200g

フエで最も有名なチェーのブランド。真空パックで販売されており、お土産にも最適です。

2. フエ・グルメ(Huế Gourmet)

ウェブサイト:huegourmet.vn

オンラインでフエの特産品を購入できるショップ。チェーの他、バインロック、マムルオックなども取り扱っています。

3. ドンバ市場(Chợ Đông Ba)

住所:Trần Hưng Đạo, Huế

フエ最大の市場。多くの店がチェーを販売しており、試食しながら選ぶことができます。値段交渉も可能。

日本人観光客へのアドバイス

発酵食品に慣れていない方へ

チェーは発酵食品なので、独特の酸味と香りがあります。日本の漬物や味噌に慣れている方なら問題なく楽しめると思いますが、初めての方は少量から試してみてください。

辛さについて

チェーには唐辛子とガランガルが入っており、かなりスパイシーです。辛さが苦手な方は、少量ずつ食べるか、ご飯やバインチュンと一緒に食べて辛さを和らげましょう。

保存と持ち帰り

チェーは発酵食品のため、常温では発酵が進み続けます。お土産として持ち帰る場合は、真空パックされたものを選び、保冷バッグに入れて持ち運ぶことをおすすめします。日本に持ち帰った後は冷蔵庫で保存し、早めに食べてください。

お酒との相性

チェーはビールとの相性が抜群です。フエの地元ビール「フダ」や日本のビールと一緒に楽しんでみてください。日本酒や焼酎にも合います。

チェーの文化的意義

チェーはフエの人々にとって、単なる食べ物以上の存在です。

テト(旧正月)の必須アイテム

フエのテトには、バインチュン、バインテトと共にチェーが必ず用意されます。これは先祖への供物としても、家族団欒の食卓にも欠かせません。

保存食としての知恵

冷蔵庫がなかった時代、肉を長期保存する方法として発酵が用いられました。チェーはその知恵の結晶であり、フエの気候と風土に適した保存食として発展してきました。

コミュニティの絆

かつては、テト前に近所の人々が集まってチェーを作るのが恒例行事でした。大量の豚肉を処理し、みんなで包む作業は、コミュニティの絆を深める機会でもありました。

まとめ|フエの発酵文化を味わう

チェーは、フエの食文化の奥深さを象徴する一品です。発酵による酸味、香辛料のスパイシーさ、豚肉の旨みが複雑に絡み合い、他にはない味わいを生み出しています。

日本にも多くの発酵食品がありますが、チェーはまた違った発酵の世界を見せてくれます。フエを訪れた際は、ぜひこの伝統的な発酵豚肉を試してみてください。

特にテト前後の時期にフエを訪れるなら、家庭で手作りされたチェーに出会えるかもしれません。それは、フエの人々の暮らしと伝統に触れる貴重な機会となるでしょう。

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